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信託(民事信託)について

1 信託とは、個人の持っている財産の一部を、個人の財産から分離し、分離した財産(信託財産)の管理運用を第三者に委託する契約等(信託行為)の制度です。

  信託財産の名義(所有権)は、信託を委託した者(委託者)から受託した第三者(受託者)に移転しますが、受託者は受託した信託財産を、受託者自身の固有財産とは区別して財産管理(分別管理義務)をする必要があります。

  このため、不動産の所有権移転登記では、登記原因を「信託」とし、登録免許税も千分の四に軽減(通常は千分の二十)されています。また、委託者は、受託者に財産を譲渡したわけではありませんので、所有権の譲渡による譲渡所得は発生しません。

    ※信託とは①特定の者(受託者)が、②財産を有する者(委託者)から移転され

    た財産(信託財産)について、③信託契約(委託者の遺言等でもよい)により、

    ④信託目的に従い、⑤財産の管理処分等の必要な処分をすることです。

 なお、信託契約は、委託者と受託者が契約を締結することにより成立し、後述の受益者は契約当事者とはなりません。

2 民事信託は、信託の受託者が、特定の者だけを相手として、営利を目的とせず、継続反復せず引き受ける信託で、非営業信託です。

    ※商事信託は受託者が営利を目的として継続反復して信託を引き受けることから、信託業法

    の適用を受け、免許登録の必要があります。

3 受託者が、信託財産を管理運用して得た利益を受け取る権利を「受益権」といい、受益権を有する者を「受益者」といいます。受益者をだれにするかは、全くの自由で、委託者本人でも第三者(法人でもOK)でもかまいません。

 税務面では、信託財産に属する資産・負債は受益者のものとみなされ、信託財産の管理運用による利益は、受益者の所得とされます。(他益信託=受益者等課税信託)

 さらに、受益者が委託者以外の第三者のときは、当該信託に関する権利を委託者から贈与されたものとみなされます。

 但し、受益者が委託者であるとき(自益信託)は贈与があったものとはみなされません。

 受益者が個人以外(法人等)である時は、受益者を個人とみなして、贈与税の対象となります。

    ※受託者は、あくまで管理者の立場なので、信託財産に関する上記の課税関係は生じませ

    ん。(管理手数料等の報酬は課税されます。)

4 受益者の受益権については、信託財産からの収益のみの受益する権利(収益受益権)と信託終了時残った信託財産の交付を受ける権利(残余財産受益権=元本受益権)に分けることができます。

 収益受益権者(収益受益者)は、信託財産が委託者から受託者に交付されたとき(通常は信託契約の効力発生日)に、収益受益権の贈与があったものとされます。

 残余財産の受益権者(元本受益者)も、原則として信託財産が委託者から受託者に交付されたとき収益受益権の贈与があったものとされます。つまり、信託の終了前から自己の受益債権を確保するための権利を有するため、受益者として現に権利を有する者とされることになります。

 しかし、次のような場合には、信託財産の受託者への交付時には「受益者として現に権利を有さない」ことから、それぞれの事由が発生した時に元本受益権の贈与があったものとされます。

 ①元本受益権の付与(発生)に停止条件が付与されているとき。

 ②委託者死亡のときに元本受益権を取得する定めのある信託のとき。

 ③委託者が死亡するまでは原則として受益者の権能を有しないとされているとき。

 ④元本受益者が帰属権利者(収益受益者への給付が終了した後に残存する財産の給付を受ける権 利を取得=受益債権を確保するための権利を有さない)であるとき。

  ①は条件成就のとき、②③は委託者死亡のとき、④は収益受益者への給付が終了したときに、贈与(もしくは相続・遺贈)があったものとされます。

5 信託受益権の評価は次によることになります。

 ①元本と収益の受益者が同一の場合は、財産評価通達で評価した信託財産の価額。

 ②収益受益権の場合は、信託契約の効力発生日(贈与があったとみなされる日)の現況において推算した金額(信託契約期間の将来受けるべき各年の利益の価額について、基準年利率による複利現価率を乗じて各年の利益の金額を算出し、これを合計した金額=年々基準年利率の複利分だけ逓減した金額の合計)。

 ③元本受益権の場合は、①から②を控除した価額。

6 信託受益権は、受益者が死亡した場合に、次の受益者、またその次の受益者、さらにその次の受益者を順次あらかじめ定めていたとき(受益者連続型信託)は、受益者の移転のつど信託財産が相続税(贈与税)の課税対象とされます。

 受益権の承継回数には制限はなく、また、承継する受益者は信託設定当時現存している必要はありません(まだ生まれていない孫・曾孫とすることもできます。)が、信託を設定してから30年経過後は、受益権の承継は1回しか認められません。

 また、生まれていない孫・ひ孫等が次の承継受益者となったときは、受益者が存在しない信託として「法人課税信託」(法人税法第4条の6)の適用を受けます。したがって個人である信託の受託者は、受託者個人の財産として区別した受託財産について、法人と同様に法人税の申告納付義務を負うことになります。

 さらに「法人課税信託」の適用を受けるということは、亡くなった委託者から贈与があったものとして、法人税の受贈益に対する課税が行われ、かつ相続税法上の相続税も信託財産の相続があったものとして、相続税が課税されます(法人税の受贈益に対する課税された税額は相続税から控除されます)。

 これに加えて、委託者が生前に、生まれていない孫等を受益者とした場合は、「法人課税信託」たる受託者(法人とみなされてしまう)に対する信託財産の贈与として所得税法上の時価によるみなし譲渡の適用を受けます。

 そのうえ、生まれていなかった孫等が出生し、受益権を取得したときは、信託財産の贈与があったものとして、贈与税が課されます。

 このように、受益者のいない状態での「法人課税信託」は、多大な税金の負担が生じてしまうことがありますので、要注意です。(世代飛ばしによる節税防止策はヤブヘビになる?)

 受益権自体は、受益者の死亡により受益者の相続人に相続されますので、受益者の存在しない信託とならないように注意しましょう。

   ※委託者が遺贈による信託したときは、委託者の相続人は委託者の地位を相続せず、また受益者指定権等も相続されません。(信託契約等で、別段の定めをできます)

7 信託は次の場合に終了します

 ①委託者及び受益者が合意したとき

 ②信託契約等(信託行為)で定めた事由が生じたとき

 ③信託の目的を達成したとき

 ④信託の目的を達成することができなくなったとき

 ⑤受託者が受益権の全部を固有財産で有する状態が1年を継続したとき

 ⑥受託者が欠けた場合であって、新受託者が就任しない状態が1年間継続したとき

 ⑦信託財産が費用等の償還等に不足している場合において、受託者が信託を終了させたとき

 ⑧信託の併合がされたとき

 ⑨特別の事情による信託の終了を命ずる裁判があったとき

 ⑩信託財産について破産手続開始の決定があったとき

 ⑪委託者が破産手続開始の決定等を受けた場合において、信託契約の解除がさたとき

 ⑫不法目的で信託がされた場合等で、裁判所が信託の終了を命じたとき

 8 受益権は信託契約等で別段の定めがなければ、相続の対象となります。

  また、信託契約の委託者の相続においては、当該受益権は、遺留分減殺請求の対象となります。

9 受託者が、信託業法の信託業(信託の引き受けを行う営業)を営むときは、内閣総理大臣の免許を受け、登録する必要があります。これをせずに信託業を営んだときは3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金の処せられ(併科され)ます。

 信託の引き受けを行う営業とは、「営利を目的として継続反復して信託を引き受ける」ことから、不特定多数の委託者・受託者との取引が行われうるか、という実質に即して判断することになるので、不特定多数の委託者を予定していない場合には信託業には該当せず、信託法の適用外と考えられます。

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