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ベーシックインカムと税制
(AIの進展に伴う労働の概念の変化に関連して)

1 ベーシックインカムとは

 ベーシックインカムとは「収入の水準によらずすべての人々に無条件に、最低限の生活を送るのに必要なお金を一律に給付する制度」と定義されています。

 日本国憲法第25条第1項では「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と規定していることから、上記定義の「収入の水準によらずすべての人々に無条件」、「一律」を除いた形式では、自力及び他力(国等からの給付)によるベーシックインカムは憲法上保障されている形にはなっています。

 具体的には、生活保護法による各種給付金、子供手当、雇用保険被保険者の失業給付金、国民年金、厚生年金等による公的年金給付等、ベーシックインカムに類する公的な給付が存在し、これらの給付が適切に運営されれば、すべての国民に生活に必要な最低限の収入が得られることになる建前となっています。

 しかし、これらの給付には、保険料を納付するとか、処分できる財産がないとか、扶養義務のある親族はいないかとか、様々な支給要件があるので、とてもベーシックとは言える制度ではありません。

 もっとも、憲法第27条第1項では「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」と規定されているので、「働かざる者食うべからず」のことわざのように、遊んでばかりいるキリギリスにお金を恵んであげる(給付する)必要はなく、全部自己責任だという考え方は当然のことです。

 しかしながら、先祖から相続した莫大な財産を有する一部のセレブやその子息は、遊んでばかりいても地代家賃や預貯金の利子・株式等の有価証券の配当収入がたっぷりあり、また同族会社の形ばかりの役員に就任し多大な役員報酬を得ている等、極めてぜいたくな生活をしていることは、とても不公平だ!というのも真実です。これらの人たちは、証券会社等の金融機関の上得意客であることからファイナンシャルの専門家に守られ(上得意客に逃げられたくないので、損失を他の無知な弱小取引先に転嫁するなどのことを平気でやっている?)、また、低率な一律課税の金融・証券税制によって守られている(累進課税による高税率による所得課税から逃れている!)、さらに、コロナウィルス禍等の困難な経済状況下でも、しっかりとその事業等が存続し、保有する金融資産が激減しないように政府日銀の株価維持政策等でがっちりと守られている?、現実もあります。

 これも、日本がグローバルな資本主義に従った世界に従属している以上、やむを得ないことかと思います。(共産主義の失敗は、歴史的にも明らかです。中国の共産党は、ポスト共産主義の実験の真っ最中なのではないかと考えられます。尤も一党独裁体制にひたすら固執し思想統制を継続していることはいかがなものかと思いますが?このまま思想・信条・表現の自由を抑圧するスターリズム的政策を続ければ、旧ソ連と同じ道を進むのではないかと思います。また、日本共産党がなぜ「共産党」という前時代的な言葉にこだわっているのか理解できません!弱者の味方を標榜し何でもかんでも反対し、本質を歪曲して党利党略を優先する体質から脱却できていないのがとても残念です。)

 これらの矛盾は、世界の各国が様々な考え方により、タックスヘイブン国家の存在を許し、貧困・低賃金労働の格差の許容を認める以上、グローバルな資本が最も効率的に利潤を得ること(資本の自己増殖)を追求することについて全否定しきれないことから、日本国内の産業を維持・誘致し、経済を維持するためには、やむを得ないこととも考えられます。

 これに加えて、いわゆるAI技術の飛躍的な進展は、人間の労働の領域をAIロボットに置き換えたほうが、効率的に資本の利潤を得ることができるようになってきています。

 この結果、国境を越えた資本の利潤追求に従属する労働の低賃金化は加速し、失業・貧困による格差拡大の深刻化は避けられないものとなります。

 この場合、かつての盲目的マルクス主義者ならば、資本主義の最終段階が近づいて、いよいよ、インターナショナルな労働者による共産主義革命の時代が来た、と大喜びするでしょう。

 しかし、事はそう簡単ではありません。AI技術の進んだ経済社会、複雑に重層的に形成された政治行政組織等をいっぺんに覆すことは極めて難しく、ましてや核兵器が存在する中での革命戦争など世界の破滅を導くため、到底不可能です。

 そこで、コロナウィルスが全世界的に席捲している中で話題となっている「ベーシックインカム」で、世の中がどう変わるかということを真剣に検討する時が来ていると思います。

 恒久的なベーシックインカムの導入の意味するところは、究極のところ、生活するために労働力を他人の資本の利潤の追求のために提供しなくてもよいという選択肢を、すべての人々が得ることができるということです。

2 ベーシックインカムと労働の概念の変化の歴史的意義

 社会とは、まず、家族を基本単位として、自給自足・相互扶助で生活を賄えば、経済は不要となります。また、家族が増加して部落(部族)を形成しても、その範囲内の自給自足・相互扶助で部落(部族)内の人々の生活を賄えれば、同じく経済は不要です。(この段階では、労働の成果である帰属所得=imputed income(この意味は当ホームページの別項目を参照してください)が経済社会に現象することはありません。)

 次に、複数の部落(部族)間の交流が偶然生じ、それぞれの部落(部族)の余剰生産物があれば、それを交換する物々交換により、経済が初めて生じます。(まだこの段階では、個人の所有権の概念は生じていないと考えられます。生産物の所有権(まだ所有権という概念はないが)は部落(部族)の総有として把握され、その管理者が徐々に生じ、部落(部族)の支配層が生じれば、その者が管理者となると考えられます。)

 さらに、複数の部落(部族)の争いが生じ、戦争となった結果、勝った部落(部族)が負けた部落(部族)の全部を所有(負けた人々を奴隷として所有することを含む)し、奴隷となった人々はその生命・労働による帰属所得等のすべてを、勝利した部落(部族)の所有物として取り扱われる(人権という概念はまだない)こととなります。

 また、弱小部落(部族)は、強大部落(部族)との争いを避け、その生産物等の所有物を貢物として(租税の始まり)強大部落(部族)に献上することにより、奴隷とされることはなくなるものの、被支配者として、強大部落(部族)の支配に属することとなります。(国家、身分制度の始まり)

 他方、部落(部族)からあぶれた人の中から、各部落(部族)の余剰物の物々交換を生業とする者(商人の始まり)が生じ、取引の簡素化のために、互いの信用を共同幻想化した「通貨」に類するものが生じることになります。(価格=商品価値の始まり)

 このような件の話は、エンゲルスの「家族、私有財産及び国家の起源」のほか、数ある各種の貨幣、経済に関する著書が詳しいですが、上記の部族、国家間の争いの中から、農業、鉱工業、商業の仕組みが発達し、資本主義(国家レベルでは重商主義)が発達してきたところです。そして、キリスト教の宗教改革、イギリスの権利の章典、産業革命、フランス革命による個人的人権概念の確立を受けて、個人の所有権の保障概念が確立されます。(それまでの支配権力者に認められた所有権ではなく、天賦の人権としての所有権の保障。)

 この渦中で、自己の所有するものが何もない人は、自己の労働力を商品として他人に提供し、その対価である貨幣を得る(ここで帰属所得たる労働が経済社会に発現することになる。)ことを生業とする労働者が登場することになります。(労働価値説については、アダムスミス、リカード、マルクスなどいろいろな理論があります。)

 この労働力商品に関するマルクスの理論に変遷については、廣松渉さんの疎外論、物象化論に関する著作が詳しいですが、要は、何も所有しないいわゆる「無産者」が生活するためには、自分のやりたくない労働を他人に提供しなければならない疎外感(労働による自己疎外、労働して得た成果が自分のものにならない。)を抑えて、自己の帰属所得たる労働力を商品として経済社会に物象化(現象)させ、その対価として生活のための通貨を取得する必要があるということです。その結果、労働者は生活費を得るために、自分の得るべき成果である価値を資本家に搾取されるという構図となる訳です。(結局のところ、資本主義は物だけでなく技術・アイデア等あらゆる存在を商品とする(商品として物象化させる)ので、資本自体も株式・出資として商品となり、仮想通貨をも商品化して取引の対象としています。いわば、資本の増殖のためには何でも食い尽くす怪物が産業発達・科学技術の発展の原動力となっているのです。)

 しかし、この労働の内容に関しては、様々な発明、技術の発展によって歴史的に大きな変容をしており、また単純な肉体労働のほか、単純な技術・事務労働から巧みな技を要する技術労働、いろいろな知識に基づく事務労働、知恵や知識を総合的に活用した研究的労働、各種芸術等の創造的労働等々、その帰属所得の内容は多種・多様です。

 そして、労働の歴史的変遷としては、まず、農耕に関しては、牛馬によって、力仕事の一部が取って代わられ、それがトラクターにとって代わり、AI技術の自動運転が取って代わる。また、製造業に関しては、蒸気機関・電気等によるオートメーションが、単純な労働にとって代わり、それがAIロボットに取って代わられる。さらに、工芸の匠の技までもがAIロボットに取って代わられ、チャットGTP等のAIが様々な知的業務で行われるような時代を迎えています。

 つまるところ、資本の効率的な利潤の追求のためには、人間の労働によらず、AIロボットによったほうが効率的である時代を迎えようとしているため、搾取される労働者対搾取する資本家という階級闘争の構図が成り立たなくなっている時代を迎えるということです。(生活するための搾取される労働力を提供する機会すらなくなる人々が大多数となるということ)

 このため、国民の生存権の保障のためには、ベーシックインカムが不可欠となる訳です。

 他方、個々の労働者は、このベーシックインカムにより、帰属所得としての労働を労働力商品として物象化し最低生活費の賃金を得るという自己疎外の呪縛から、初めて解放されることになります。

 あとは、各人の各種の帰属所得とその成果をどのように使うかは任意で、個人の自由選択になります。

 また、社会資本的には、AIの進展により、大多数の労働者が職を失い、所得が無くなることは、大半の市場を失うこととなり、資本が生み出す産出物を消化できなくなり、資本の自己増殖ができなくなるため、職を失った大多数の労働者の消費を促して、市場を維持する必要性が出てくることとなります(有効需要の創出には、公共投資よりベーシックインカムが極めて有効となる。)。

 したがって、ベーシックインカムは、資本主義の維持にとって、必要不可欠なシステムとなり、後は国家の適切な通貨管理、税制・財政政策により、市場の混乱を防ぐことが重要になるということとなります。

3 ベーシックインカム導入後の意識(概念)の変化(パラダイムシフト)

 ベーシックインカムが、労働者が生活を賄うためにその労働力を、商品として提供し賃金を得るという軛(くびき)から解放することの意味は、人(労働者)自体に帰属する労働(何らかの人の行為)による結果(何らかの利益、一定の行為による利益から、一定の産出物物の生産等の利益その他事実上の利益)は、すべて、その人(労働者)に帰属するということを意味します。この結果である何らかの利益(これは帰属所得そのものであるので、これを課税すべきかどうかは、本ホームページの帰属所得の項目をご覧いただくとして)を、自分の生活や趣味のために使うか、通貨を対価として得るために他人に提供・譲渡(取引)するか等の処分は、その人(労働者)の自由(任意)であるということです。(個人は、その性格・能力・個性・器用さ等に合わせて、様々な結果(帰属所得)を生じさせることができます。)

 ただし、ベーシックインカムの給付は、最低限の生活費(消費税も含めて)の保障にすぎないこと、健康で文化的なものについても、国等の公共機関から最低限の提供があるにすぎないことになります。またこの最低限の生活費を何を基準とするかは、大きな問題となりますが、全地域の平均による最低額とすべきと考えられます。

 したがって、ちょっとした小遣い銭が欲しいとか、より物質的に豊かな生活をしたいとか、より便利で文化が集中している地域で派手な生活をしたいとか、趣味や旅行を楽しみたいと思うときは、当然、ベーシックインカムによる給付のみで生活費を賄えなくなることから、自己の処分可能な帰属所得を通貨にするための取引(処分)をすること(経済社会に現象すること)が必要となります。また、田舎で、ベーシックインカムの範囲内で、物質的よりは精神的に豊かな生活をしたいと思えば、何もしなくても若干の余剰は生ずることになると思います。つまり、個々人の欲望と選択により、帰属所得による様々なインセンティブの取得が可能となるということです。

 なお、教育に関しては、基礎知識の習得から高度教育まで、いつでも無償で受けることができる制度の確立が必要です。資本主義社会の資本の自己増殖のためには、不断の科学技術等の発達が必要であり、AIを超える創造性を人々が生み出すためには、年齢に関係なく高度の教育が不可欠ですので、ベーシックインカムの範囲を超えて、高度の教育をいつでも誰でも受けられる制度が必要なわけです。(人生のやり直しの機会も必要です。これにより、インセンティブの格差が生じるのも当然の結果になると思います。)

 また、医療及び介護にかかる費用は、上記の最低限度の生活費で賄うことを前提としていない臨時の費用であることから、公的施設により無償で受けることができなければならないと考えられます。

 さらに、個々人の様々な選択と、個性・能力により、様々なインセンティブが生じることによる様々な格差が生じることはあきらかですが、これは個々人の能力と個性により選択した結果ですので、やむを得ないこととなります。(努力した人々は報われなければならない。最低賃金の規制は不要となり、「能力の高い仕事」だけでなく、AIロボットに置き換えられない「人の嫌がる仕事」は高報酬となることも?)

 ベーシックインカムは、このように、健康で文化的な最低限の生活を保障し、憲法の保障する基本的人権と個人の様々な選択の自由を保障する大前提となります。しかし、憲法第12条では、人権の保障と選択の自由も、その乱用は許されず、公共の福祉のために利用する責任を負わされています。したがって、憲法以下、民事法、刑事法等の法規範に従う必要があります。(しかし、この法規範という共同幻想は歴史的に時代により変遷するもので、絶対に正しいものとは限らないので、常にその正当性と、相当性を監視し、改正する努力を怠ってはならないと思います。)

 他方、この権利義務を正しく理解するためには、個人に正しい人格が形成されている必要があります。

 しかしながら、この人格形成が欠如している場合があります。それは、未成熟子、民法上の被後見人、被保佐人、認知症患者等、自己の財産管理能力を欠いている人に対するベーシックインカムの管理と「健康で文化的な最低限の生活の確保」の問題です。また、これは、家族に関するベーシックインカムについても難しい問題を提起します。

 家族の法律関係(本ホームページの別項参照)について、ベーシックインカムが導入されれば、民法上の親族間の扶養義務及び相互扶助義務を不要とするはずですが、現実の社会生活では、一定の家族が世帯として共同生活をし、また、別世帯となっても相互依存の関係にあることから、当該扶養義務等をなくすことは適切ではありません。そうなると、ベーシックインカムの給付は、家族の個人ごとに給付するのか、世帯ごとに世帯主に給付するのか。家計は個人ごとに管理するのか、世帯全体で世帯主が管理するのか、といった問題が生じます。

 特に、子供がまだ生後間もない子供はもちろん、未成年の子の場合には、親に親権者としての監護権や財産管理権、法定代理人の地位が与えられていることから、親が自由にこのベーシックインカムの給付を使うことができてしまう結果、親の管理の仕方によって、子の給付をすべて子供名義の金融資産として積み立てている場合と、全部家族の生活費のために使い切ってしまう場合とでは、子供の任意の選択のないところで、とても大きな格差が生じてしまうことになります。ましてや、毒親が、自分の遊興費やギャンブル費用に子供のベーシックインカムの給付を使ってしまい、子供が最低限度以下の極めて劣悪な貧困に甘んじざるを得ない状況が生じる危険性があります。

 従って、このような場合の給付金の管理は、信託に類似する財産管理を義務付け、管理者の自由な処分を抑制する必要があると考えます。(併せて、親が子供を搾取・虐待することを許さないシステムを、社会的に強化する必要があります。)

 またベーシックインカムの給付金については、確実に最低限の生活費に充てるために、差押禁止、譲渡・担保の禁止、所得課税非課税の措置を与えるべきと考えます。そして給付金の額の基準は、生活費に使った費用に係る消費税も加算した税込金額による最低限の生活費の全国平均により算出すべきと考えられます。(消費税等の租税公課が、ベーシックインカムによる最低限の生活の保障を圧迫することは許されない。)

4 ベーシックインカムの下での税制の検討 

 どのような税制と財政政策でベーシックインカムの制度を維持するかについては、貨幣の新規発行による貨幣発行益を充てるとか、ミルトンフリードマンの負の所得税で財源を賄う、とか様々な議論があります。ベーシックインカムには前記のような市場の創設・維持の機能もあることから、新たな市場のための通貨の発行(もしくは銀行振込み等の信用の創造)が必要となるので、その時点で生じた貨幣発行益で賄うことになりますが、同時に通貨の供給過大による、高度なインフレを防止するためには、租税による貨幣(信用)の回収や金融政策による調整並びに国債の発行も同時に行う必要があります。また、租税は、上記のインセンティブの格差による所得格差の是正や不平等感の緩和の役割を果たすことになります。

 ベーシックインカムの課税について、憲法上の生存権の保障についての現行法上の考え方では、自助努力で健康で文化的な最低限の生活を確保できないときは、公的扶助で保障する方法を採用している(生活保護法参照)ことから、これを簡素化した形のフリードマンの「負の所得税」の考え方が妥当かと思われますが、この場合は少なくとも、最低生活費を賄うまでの自助努力については、最低限の生活費を得るため、他人の資本の自己増殖のために自己の労働を商品として提供することが強制されることとなり、帰属所得たる労働の自由な処分の選択ができないことに帰結します。従って、当然に、やりたくない仕事でインセンティブを得られない労働を提供することはやらないほうが得だということになり、労働の提供の選択の負の負荷となってしまい、社会経済的な損失を誘導する結果となります(より大きなインセンティブを得る機会を失い、これによる資本の自己増殖を失うことになる。言い換えれば、極めて才能のある人が、生活費を得るための無駄な労働で時間を浪費し、その才能を開花させ、素晴らしい創造物を創出する機会を奪うこととなります。)。

 よって、前記の通り、ベーシックインカムの給付に所得税を課すべきではなく、すべての人々に無条件で同額の金額を支給すべきことになります。

 他方、帰属所得をどのように使うかの選択(生産物の販売、サービスの提供、労働力の提供等)により得られたインセンティブ(担税力の発現と認められる所得)には、通常の所得税等が課せられますが、その計算の際の各種所得控除は、すべての人々にベーシックインカムがあることから、不要となるので、一切なくすべきと考えられます。税率も累進課税にする必然性が無くなり、シンプルな定率とすべきです。また、所得区分をなくしたうえで、給与所得控除等の概算控除をなくし、収支計算により所得を算出すべきものと考えます。ただし、源泉徴収制度は所得税と同一の源泉税率で維持し、確定申告不要とし、必要経費を計上するときには、収支計算をして確定申告で税額の精算ができるようにすればよいのではと考えます。

 現在上記のほかに、個人の所得に賦課する租税公課には、地方税では個人住民税、個人事業税、いわゆる社会保険では、医療保険(働き方や年齢によって名称・賦課の仕組みが違います。国民健康保険は税とされることがあります。)、介護保険、年金保険(働き方等によって違います)、労働保険(労災保険、雇用保険)があります。

 地方税は、地方自治の財源とするためのものなので、すべて国税に統合して、地方に財源を適切に配分できれば、別個の税目としては不要(税率を所得税に統合)となります。

 社会保険は、国家等の行政の費用を賄うためのものではなく、疾病、高齢化、失業、労働災害、介護などのリスクに備えて、その構成員が保険料を拠出しあって、そのリスクが生じたときの負担(費用の支出)をその構成員全員で分担する保険制度で、公的機関が管理し不足する費用を国家が補助する形態で運営されています(別に、私的な保険として、生命保険、損害保険、企業年金等があります。ただこれらの私的保険は、保険の性質より金融商品としての性質が強いものがほとんどで、より利回りが良いものが商品として好まれている傾向があります。)。しかし、すべての社会保険には公費が投入され、そのほとんどの財政は、過半が公費で賄われている状況であり、特に年金のうち国民年金(厚生年金中の基礎年金も同様)は、ベーシックインカムに包含されるものなので存在理由が無くなります。さらに、医療保険及び介護保険は、既述の通りすべからく公的機関で無償により給付されるべきものあることから、不要となります。同様に労働保険も、ベーシックインカムと医療・介護の無償給付から不要となります。

 現在の社会保険は、公課として所得に応じて一定率で賦課されるのが基本であるので、ベーシックインカムの下では、この率を所得税の税率に上乗せしても、実質的な税率の増加にはならないと考えられます。また、所得税の負担がない者は、ただ乗りだとの批判があるかもしれませんが、現行制度もその過半は公費負担で、その財源は税金もしくは赤字国債で賄われていることから、実質的には大差ないことになります。

 なお、厚生年金の基礎年金以外の部分は、ベーシックインカムの下では私的保険の性質を有するので、保険料支払いによるインセンティブとして、私的保険と同様の取り扱い(公的補助を入れるべきではない)にすべきと考えられます。

 結局のところ、税と社会保険の一体改革は、ベーシックインカムの導入により、最終的に解決されることになると考えます。(また、コロナショックのような大困難等が生じたときには、ベーシックインカムの給付があれば、国民生活の確保・医療の給付等の社会の基礎的な部分には対応できるはずと考えます。あとは、インセンティブを失う経済的損失をどのように補うかの問題ですが、インセンティブ部分の経済は、選択による自己責任が原則となりますので、公的資金の投入は、混乱を避けるための最低限なものとすべきと考えられます。なお、損失を被った者も、ベーシックインカムは差押禁止となりますので、最低限の生活は保障されていることになります。従って、最低賃金の定めも不要となります。)

 ベーシックインカムの給付の財源は、上記のほかに、財政の均衡のため、広範囲に税を負担させることができる消費税が最大の税源となるべきです。

 前記のように、ベーシックインカムの最低生活費の給付は、消費税込みの生活費となるので、消費税には逆進性があり、弱者に厳しい税金であるとの批判は、当たりません(給付に消費税を上乗せしているので誤りです。)。

 また、ベーシックインカムがあることから、消費税に社会政策的な非課税取引を認める必要性はほとんどなくなります。なお、労務の提供は役務の提供(帰属所得によるインセンティブ)と同視できるので課税取引とし、土地の譲渡、貸付や、利子、配当、保証料、保険料なども課税取引とすべきです(売上(収入金額)の取引=生活費・経費等の支払取引となり、すべての取引が課税対象となり、すべてマイナンバー付きの請求書・領収書の発行を義務付ければ、脱税はできなくなります。)。さらに、免税業者を認める必要はありません。

 さらに、所得税の源泉徴収制度を準用すれば、消費税の徴収が簡素化できます(消費税というよりは、一般取引税という名称にしたほうがいいかもしれません。)。なお、源泉徴収の段階で、所得税と消費税が徴収されるので、2重課税のような重税感はありますが、所得税と消費税という別の機能の税金なので、決して一つの取引に関する重複課税ではありません(後で述べます目的税と消費税の関係も同じです。)。

 法人税については、利益処分後の所得について課税することとし、役員給与、配当も損金として取扱う(役員給与、配当も上記の通り消費税の課税取引となります)こととし、法人に留保される所得には、高税率で法人税を賦課すべきと考えます(法人実在説を採用するも、法で認められた特別な存在なので、できるだけ所得を留保させるべきではなく、給与、配当、設備投資及び研究開発費等に余剰資金を流出させる必要があると考えます。減価償却費も即時償却や特別償却の額を増額することにより、流動的な資産の流れを創出する必要があります。なお、現行の法人税法でも課税所得の計算は、企業会計原則とは乖離しています。)。

 次に、所有権の対象たる財産に対する課税について、財産権は憲法第29条第1項で保障されていますが、同第2項で公共の福祉に適合するよう法律で定めるとされていることから、権利の内在的制約で当然に受忍すべきものです。また、憲法第30条では納税の義務が規定されています。

 そこで、個人の財産に対する資産課税をどのように考えるか、固定資産税や自動車税は、前者は地域の生活基盤についてに費用を不動産所有者に負担を求め、道路等の基盤整備の費用を自動車所有者に求めるのも、やむを得ないものといえます。

 問題となるのは、相続・贈与等の資産の移転です。これを税の負担を求めずに認めてしまうと、貧富の格差がそのまま子孫に継承され、格差の是正ができなくなり、永遠の不平等を許すことになります。相続制度は、被相続人の財産は、血族である親族(家族)共同体の財産と考え、親族共同体の構成員にその財産を移転し、家族制度を維持する目的があると考えられますが、被相続人の財産は、家族の帰属所得を使用して形成された面(相互扶助義務)が強く、被相続人一人で形成したものではないことから、配偶者に対する財産分与、家族の寄与に対する財産の分配の機能があります。また、事業承継ができずに、産業や文化が衰退していくことを防ぐためには、事業継続のための資産の承継をスムーズに行う必要性もあります。(ただし、相続税・贈与税を逃れるための形だけの事業承継には、厳しく対応すべきで、その適用要件を絞り、承継後意図的に事業を廃止したり、事業の継続を形骸化させるような場合は、事後的に逃れた税額を徴収することも制度化すべきと考えます。また、事業の承継者は、相続人である必要はありません。)

 したがって、相続制度をなくすとか、相続税を100%にするといった議論は妥当ではありませんが、あまりに莫大な財産を相続するセレブ層と何も相続財産のない無産層との格差が極めて大きい状況下では、一定額の基礎控除後の課税財産に高率な税率を適用する(もしくは累進課税による)ことが妥当といえます。また、贈与税も同様に考えられます。

 現在の税制は、上記の税金のほかに、様々な目的税というものがあります。いわゆるガソリン税のような石油関係の燃料に賦課される税、酒・たばこに賦課される税、ゴルフ場利用税、入湯税や国際観光旅客税等の特定の利用者の受ける便益の環境整備等の費用に充てる目的の税は、一般的な税とは別に、応益負担によるべきなのでこの目的税が果たす役割は大きいと思います。

 税率の設定は、応益負担を原則としますが、財政の均衡(インセンティブの選択の志向や資本の自己増殖も、ある程度経済成長への動機づけとして必要なので、緩やかなインフレ下における財政均衡となります)を保ちつつ通貨政策を勘案して所得課税を除き、5年ごとに税率を検討し、所得課税については、各年度の財政状況に基づき翌年度の税率を変更する弾力性が必要と考えます。

5 ベーシックインカムとMMTと新自由主義について

 近年、ベーシックインカムを論じるときに、MMT(現代貨幣理論)がセットで論じられています。MMTはいわゆる新自由主義に結びつく経済理論とされています。

 新自由主義とは、大雑把に言えば、経済に対する国家の干渉を極力減らし、小さな政府による民間の自由な経済活動により経済を運営するという考え方で、イギリスのサッチャリズム、アメリカのレーガノミクス、日本の中曽根民活以降の、一連の国鉄(JR)、電電公社(NTT)、専売公社(JT)、郵政(郵便・郵貯・簡易保険)の民営化の基礎理論となっているものです。

 MMTは、「貨幣とは負債の一形式であり、経済において交換手段として受け入れられた特殊な負債」(信用貨幣論)とする通貨に関する理論で、財政支出(通貨の発行)により発行された国債は返済の必要な債務ではないという理論を導き出す根拠とされています。今回のコロナショックによる一連の財政支出(持続化給付金・特別定額給付金・GOTOトラベル・イート等々)による際限のない赤字国債は、安倍政権・菅政権が従来の財政均衡を基にした財政から、信用貨幣論による財政への移行を認容しているのではないかと考えられます。

 信用貨幣論によると、通貨とは、上記2で述べたように互いの信用の共同幻想であり、「信用」と「負債=借用証書」が貨幣で、デフォルト(破産)する可能性のない政府(中央政府と中央銀行)が発行する「借用証書」であるという考え方により、赤字国債をいくら発行しても、赤字国債の更新(返済と新規発行)を繰り返せば、際限なく赤字国債を発行できるので、財政支出は財政均衡の歯止めの必要なく、後は高度なインフレが発生しない政策をとればいい、との考え方を導き、赤字国債発行による財政支出の根拠となっています。

 一般的な企業会計の原則によれば、継続企業における貸借対照表では、国債は長期借入金の典型例で、期中に返済がなければ翌期以降に繰り越されて、借換えによる更新を含めた際限のない赤字国債の発行は、長期借入金の額を際限なく膨らませ、やがて破綻を導くとになるとするのが常識でしょう。

 ところが、法人税法による貸借対照表は上記の通りですが、個人の所得税法の事業所得等の青色申告決算書の貸借対照表ではどうでしょうか。個人は、個人の生活とは別個に事業を営んでいることから、年の開始時の元入金以外の事業資金の個人からの流入を「事業主借」、家事費、家事関連費等の事業資金の個人への流出を「事業主貸」とし、翌年に繰り越されるのは、各種資産及び負債並びに元入金(年をまたいでの期首の変動はあります。)のみであり、事業主貸と事業主借は翌年に繰り越されません。事業主貸は基本的には個人の生活費となるものですが、事業が順調に経営され利益が生じていれば、一時的な資金不足を除いて事業主借はほとんど生じません。

 この個人事業の貸借対照表を国家財政に例えれば、事業主貸は国民の生活費(医療・介護・教育も含む)、事業主借は赤字国債であると考えられます。よって、この赤字国債は長期借入金とは違い、翌年に繰り越されることはありません。(「赤字国債」という表現だと誤解を生むので、別の表現をしたほうがいいかもしれません。返済義務のある債務ではないので国債という表現は適切でないですが、実質的には貨幣発行益のようなものになると考えられます。)

 ベーシックインカムの財源は、この考え方によるべきものと考えます。

 ちなみに、東京都が感染防止協力金のために都債を発行したときは、返済義務のある都債となります。なぜなら、東京都には貨幣の発行権限がないため、返済義務のない事業主借には該当しません。これを欧州共同体に例えると、EUの通貨ユーロの発行権限はEUにあることから、加盟国には通貨の発行権限がありません。そのため例えば加盟国のギリシャが国債を発行しても、その国債は返済義務のない事業主借には該当せず、返済義務のある国債となります。ただし、EUが地域限定のベーシックインカムを返済義務のない債務(実質的な貨幣発行益)をもって実施することは可能を考えられます。

6 日本の現状でのベーシックインカムの導入の可能性について

 2020年のコロナ対策のうちの特別定額給付金10万円は、ベーシックインカムの導入の呼び水となる可能性はありましたが、マイナンバーカードの普及が広まっていなかったこと、安倍政権それに続く菅政権は、持続化給付金による事業継続を優先し、各種のGOTOキャンペーンによる観光業・宿泊業・飲食業の活性化等による経済優先の政策を選択し、今後特別定額給付金の継続はせず、ベーシックインカム導入の可能性はなくなったと思われます。(しかしながら、コロナ禍の一連の財政支出の赤字国債の大幅な増大は、もはや均衡財政主義ではすべての国債の返済は不可能で、すでにMMT理論による財政支出と理解しなければ、返済不能な赤字国債で財政破綻している状態のはずです。)

 今回ここで検討している継続的なベーシックインカムは、上述の通りAIの進展に伴う労働概念の変化によるものであります。しかしながら、日本の現状は低賃金労働者の不足を、外国人労働者の技能実習生(国際貢献を謳った技能実習名義により低賃金で酷使し、人権問題をも発生させており、低賃金労働者である実習生の供給先も韓国・中国・タイからベトナム・フィリッピン・ミャンマーに代わり、今後はアフリカ諸国となるかもしれません。)で賄っている状態です。この現状では、AIによる「低賃金による酷使とならざるを得ない職種の労働」の置き換えができていないことから、とても経常的なベーシックインカムを導入できる状況下にはないと考えられます。(奴隷制度を礎とした古代ギリシャや古代ローマの共和制と同じようなものです。)

 

帰属所得の課税上の問題点

1 帰属所得とは

 帰属所得とは、「自己の財産の使用もしくは占有から生ずる利益、又は自己もしくは家族のためにする役務提供(自家労働)によって生まれる利益」と定義されています。(インピューテッドインカム(imputed income) ヒト、モノそれ自体に帰属(それ自体が持つ)する内在的な収入もしくは所得。モノには有体物のほかに、各種の債権、通貨、仮想通貨、各種の知的財産権等の有形・無形の財産権を含む。)

 自家労働に関しては、炊事洗濯掃除等の①主婦の家事労働のほか、②家庭菜園、③日曜大工、④育児や病気高齢の家族への療養看護、介護等、が考えられます。

 自己の財産の使用もしくは占有から生ずる利益に関しては、⑤土地家屋を自宅、別荘として使用すること、⑥乗用車やバイク、自転車等を利用してドライブやツーリングをすること。⑦家庭用電気器具を家族の生活のために使用すること、⑧ピアノやドラムギター等の楽器を趣味の音楽演奏に使用すること、⑨絵画や骨とう品,宝石等を鑑賞したり身に着けたりすること、⑩貴金属や金、現金等を保有(タンス預金)すること等が考えられます。

2 帰属所得は公平か?

 資産を持つものと、持たざる者の公平性の観点からは、例えば上記⑤場合において、土地家屋を持っていない者は、雨風をしのぐために家やアパートを借りるか、宿泊施設に泊まる必要があり、家賃、宿賃の支払いが必要であるのに対し、(土地)家屋を持つ者はその必要がない。⑥の場合においては、自動車等を持っていなければ、タクシー、バス、電車の乗車料金や自動車等のレンタル料金の支払いが必要になり、持っている者にはその必要がない。⑦、⑧、⑨も同様です。

 また、広い土地(自分で持っていても、他者から借りていても)使って、田畑を耕し、牛豚鶏を飼って、自作自農し、家族の一切の飲食を賄っているときはどうなのか?。自分や家族の労力で、土地を開墾して、自宅や別荘を建てたりした場合はどうなのか?。 前者は家庭菜園が大規模になった場合で、後者は日曜大工の延長であるに過ぎないのか?。普通のサラリーマン家庭であれば、家族の飲食はスーパーやコビンエンスストア、各種飲食店で代金を支払って飲食を賄い、家は工務店や大工等に代金を支払って自宅を取得することになります。

 さらに、家族に療養看護、介護することができる者がいなければ、病院や介護施設に入る必要があり、入院費が必要となります。

 以上のように帰属所得を有するか否かで、不公平感が生じることは明らかです。

3 帰属所得は課税すべきか?

 持てる者と持たざる者の公平を図る課税の方法としては、資産の保有自体に対する課税として、固定資産税(土地、家屋、償却資産)、自動車税等があり、資産を保有する個人の代替り(相続・贈与)のときに資産に課税する相続税及び贈与税があります。資産を保有しいていない者はこの税を負担することはないので、この意味で、資産課税で上記の不公平感の是正がなされていると思われます。

 税の基本は担税力に従って税を負担するということであり、この資産課税のほかには、所得課税の考え方があります。ある一定の期間の損益計算と資産負債の増減の結果である純利益と純資産の増加(この2つは一致する)を担税力としてとらえる、これに課税するのが所得課税の考え方で、個人所得税と法人税、住民税、事業税等があります。(健康保険等の社会保険の負担も同様の考え方を基本としています。)

 さらに、財貨をもって物や役務の提供の対価とする取引を担税力の把握方法とする消費税等の間接税、人・物の国家間の移動に着目して担税力を把握する関税があります。

 帰属所得は、これらの担税力の観点からすると、その把握が難しい面があります。資産課税はその価額(資産価値)に着目し、所得課税は収入、経費の価値(価額)に対する着目ができ、間接税は取引価格、関税は輸出入価額(価値)に着目できますが、帰属所得には着目すべき客観的価値(価額)がないということです。確かに持っていることで使用収益をすることができるので、持たない人に比して経済的利益があるのは確かですが、これが客観的な担税力ある価値(価額)を発生させ具体的に現象しない(以下、「発現」という。)限り、つまり観念的なものにとどまる限り、具体的な担税力の把握ができないと考えられますので、課税になじむものではありません。

 客観的・具体的な担税力の発現とは、例えば不動産・動産を保有している時に、何にも使用していないときや自己使用しているときは担税力の発現はありませんが、これを他人に賃貸すれば、賃貸料金という担税力が発現しますし、譲渡すれば譲渡代金という担税力が発現します。また、趣味や、自分で消費・使用するために労力(自家労働)を投下して、農作物・絵画や器具等の何かしらのものを作って、保存・自己使用・消費しているときは担税力の発現はありませんが、これを他人に売却すれば、売却代金という担税力が発現します。労力を有償で他人のために提供すれば、労賃という担税力に発現します。(ボランティア等の対価のない役務の提供には担税力の発現はありません。)また、個人の発想・アイデア・技能力(技術力)がアマチュアの自己満足にとどまれば、担税力は発現しませんが、これによる報酬(特許権使用料、印税等の知的財産権等の報酬、対価等)を得ることができれば、これが担税力に発現します。

4 所得税法での帰属所得の課税

 法人税法第22条では、益金の額から損金の額を控除した金額を所得と規定し、益金に算入すべき金額は資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受その他の取引で資本取引以外のものとされています。他方、所得税法では、各種所得金額で若干の相違はあるものの収入金額から必要経費、給与所得控除等の金額を控除した金額を所得とし、収入金額とはその年に収入すべき金額(金銭以外のもの経済的利益を含む)とされており、法人税は流出概念、所得税は流入概念といわれているところです

 従って、所得税法では、何らかの収入という概念が必要なので、収入される金額の発現のない帰属所得は、収入すべき金額がないことになります(支出することがないということは他者から経済的利益を受けていることにはならない。)。法人税法では、資産の無償貸し付け、無償譲渡が益金とされているので、その限りでは帰属所得が益金として把握されることになります。しかし、法人税法は、主として営利法人としての会社を対象としているので、営利性の認められない無償貸付、無償譲渡は、その相手方に対する対価を時価で寄付する行為(売上対価の請求権を放棄=寄付)したとして構成されることとなります(無償での流出はあり得ない)。また、法で擬制された人格なので、生活や趣味のための家事費用の支出はありえません。

 所得税法でも、帰属所得が収入金額とされる例があることとされています。

 所得税法39条、40条では棚卸資産の自家消費及び贈与を収入金額とし、同41条では農作物の収穫(いわゆる収穫基準による標準課税))を収入金額にすることとされています。また、所得税法施行令80条では、定期借地権の設定が認められた新借地借家法の施行にあわせて、定期借地権の設定時の預り保証金について、その使途が資産の取得、預金運用に充てときを除き、家事使用したり、タンス預金にしていた時は利息を認定することとされています。

 棚卸資産は、元々、事業(事業所得・山林所得・雑所得を生ずべき業務)の成果で必要経費とすることを予定していたものを自己使用したものであり、農作物の収穫等は事業の成果である果実等の取得(農業所得は農業所得標準が廃止され収支計算とされていることから、収穫基準は有名無実化している)等であることから、客観的な担税力のある価値の発現の把握が可能であると考えられますので、帰属所得ではありません。

 しかし、定期借地権の預り保証金に関して、その使途によって、利息を認定することについては、客観的な担税力の発現を認識することができないことから、収入金額を認定することには無理があると思われます。また、預金等の金融資産等に運用したときに、二重課税を避けるため、利息認定をしないということは、金融資産の運用益が客観的な担税力のある価値の発現そのもののであり、そのような発現が認められないような使途は、収入金額を認定できないことに帰結します。例えば、当座預金として、事業資金に運用した場合は、利息収入が得られないにもかかわらず、利息を認定しないことになりタンス預金や生活費に利用したときにだけ利息を認定すると課税には、課税の公平という観点から無理があるといわざるを得ません。(同族会社の役員への無利息貸し付けの際の認定利息と混同してはならないと考えます。これはあくまで、同族会社の行為計算の否認の適用において、無償の資産の貸付による認定利息を流出概念で益金と認識し、この認定利息を役員給与で処分したという理論の話で、帰属所得の話ではありません。

 また、定期借地権設定以外の不動産賃貸借に係る高額な保証金や敷金については、この取り扱いがなく、同じ経済行為に対する課税がこのように差別される合理的理由はないと考えられます。むしろ、贈与税の課税対象となる経済的利益(みなし贈与)となるかを検討すべきと思います。

5 相続税の財産評価における帰属所得による調整機能と贈与税の課税

 不動産の賃貸借の場合は、自己の財産の使用もしくは占有から生ずる利益(帰属所得)を賃借人に有償で移転させていることから、貸家の場合は建物の30%が評価額から減額されますが、これは、借地借家法による借家権・借地権の保護により解約が難しくなっていること等から、所有者の帰属所得たる使用収益権が制限されていることによると考えられます。また、貸家建付地は借地権割合に借家権割合を乗じた割合が同様に評価減されます。但し、借地権は独立の資産として、別個に取引対象とされ、底地権と借地権が別個に評価されてます。

 平成32年4月に施行される相続法で新設される配偶者居住権も同様に、配偶者の居住建物の無償使用収益権(帰属所得)を所有者である相続人から被相続人の配偶者に移転させ、これに対応する評価額を不動産の評価額から減じることとされる見込みとなっています。

 また、同じく相続法で新設される特別の寄与に関して、親族間の相互扶養義務者のうち、法定相続人になれなかった者の療養看護介護等の自家労働としての帰属所得については、相続法上の評価されるべき特別の寄与額として認められる請求権であると考えられます。従って、この請求権を労働の対価の精算とみて所得税の課税対象とすべきではなく、みなし相続として相続税の規律対象とすべきと考えられます。

 なお、相続税基本通達9−10(無利子の金銭貸付け等)、同9−13の2(配偶者居住権が合意等により消滅した場合)では、対価性の認められる帰属所得の移転(提供)には、相続税法第9条のみなし贈与となる経済的利益が認められる場合があるとしているようです。

 

 

 

 

給与所得と事業所得のはざまの問題点

1 給与所得から事業所得への流れの加速

 コロナウィルス禍の経済ショックの中で、2020年4月からパートタイム有期雇用労働者法が施行されましたが、派遣労働者等の短期雇用労働者の雇用が急減し、経済に対する深刻な危機に陥りました。これに対応し、事業所得者に対する持続化給付金が実施されましたが、これから漏れた給与・雑所得で申告したフリーランス等の事業所得者に対する給付が加えられました。しかし、派遣切り等で収入を絶たれた給与所得者の生活費は、雇用者の雇用調整助成金の対象となる休業手当金の支給がなく、雇用保険の適用がなく失業手当の支給がなく、休業支援金の対象からも漏れた場合、特別定額給付金のみとなり、要件の厳しい生活保護の支給をを受けなければならず、極めて深刻な状況となっています。

 持続化給付金の追加対象者となるフリーランスを含む個人事業者は、雇用契約によらない業務委託契約等に基づく事業活動からの収入を主たる収入としている次の方となっています。

 ①委任契約に基づき、音楽教室や学習塾の講師など「生徒に教える」という役割を委任されている

 ②請負契約に基づき、成果物を納品されているエンジニアやプログラマー、WEBデザイナー、イラストレーター、ライターなど

 ③業務委託契約に基づき、化粧品や飲料など、特定取引先の商品を届け、集金する業務を委託されている

 他方、これらの職種であっても、会社等に雇用されている方(サラリーマンの方、パート・アルバイト・派遣・日雇い労働者の方を含む)は対象とならないとされています。

 こんな中、外出自粛の所謂おうち生活による、ウーバーイーツや楽天・アマゾン等の宅配の需要の増大により、配達員の個人事業化がどんどん拡大しています。

 また、テレワーク化の推進により、会社に出社して、上司の直接の指揮監督下の指示による事務から、自宅での事務作業化が進むことにより、当該事務の委任契約による個人外注化も進んでいくと考えられます。

 それでは、被雇用者とフリーランスを含む個人事業者とは何が違うのか?

2 給与と事業の所得区分について

 この問題については、菊池衛さんの論文「人的役務所得をめぐる若干の考察」(国税庁ホームページの税務大学校の論文集にあります。)で詳しく分析・検討されていますが、以後、給与と事業の判断基準に関しては、裁判所の判例や税務の実務においても、おおむね当該論文の分析・検討を受け、次の点をその判断基準としています。

 ①その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか?(代替不可の場合は給与)

 ②役務の提供にあたり事業者の指揮監督を受けるかどうか?(指揮監督を受けるときは給与)

 ③まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失等した場合等においても、当該個人が権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をなすことができるかどうか?(報酬の支払い請求権があれば給与)

 ④役務の提供に係る材料又は用具等を供与されているかどうか?(材料の無償支給、作業用具の供与があれば給与)

 消費税法基本通達1-1-1では、「事業者とは自己の計算において独立して事業を行う者をいう」とし、「個人が雇用契約又はこれに準ずる契約に基づき他の者に従属し、かつ、当該他の者の計算により行われる事業に役務を提供する場合は、事業に該当しない」としている。そして、例として、「出来高払いの給与を対価とする役務の提供は事業に該当せず、また、請負による報酬を対価とする役務の提供は事業に該当する」とし、その判断基準は「雇用契約又はこれに準ずる契約に基づく対価」か否かによるが、それでも区分できないときは、上記の①から④の事項を総合勘案して判定するとしています。

 これらにより、人的役務の提供が、給与でないと判断され、それが継続、反復しているときは、原則として消費税の課税事業者となり、また個人事業税の対象業種で青色申告特別控除前の所得が事業主控除(290万円)を超えていれば事業税が賦課されます。給与と判断されれば、雇用者に所得税の源泉徴収や社会保険(原則雇用者が2分の1負担)の徴収・納付義務が課されることになります。

 所得税の取り扱いでは、その所得計算において、給与でなければ損益計算が基本とされ、給与であれば、その経費は一定の給与所得控除を概算経費控除(例外として特定支出控除をこれに替えることができる)として計算することになります。さらに、通勤手当等の一定の給与(実費弁済的なもの)は非課税とされています。

 他方、雇用契約=給与とはならないことがあります。例えば、会社等の法人の役員報酬は委任契約ですが、所得税、住民税、消費税では給与として取扱います。また、社会保険に関して、雇用保険では、暫定任意適用事業等の適用除外並びに1週間20時間未満、31日未満で雇用継続の見込みがない等の短時間労働者等の被雇用者が被保険者から除外されており、健康保険・厚生年金にも適用事業の除外、被保険者の除外規定があり、かつその標準報酬には通勤手当が加算されています(保険料がその分増加します)。

3 帰属所得としての労働・役務提供について

 ある人が完全な自給自足生活がができて、その所有物や人的役務による成果物(帰属所得の一部)を商品として経済社会に提供(物象化させ)し、その対価(通貨)を得る必要がないときには、所得税の対象となる所得税法36条の収入金額が生じていないことになります。もっとも、税金(不動産の固定資産税、住民税の頭割り)や社会保険(国民健康保険、国民年金保険料)の負担は生じますので、これを納付するためには、何らかの帰属所得(その成果物)を対価として通貨を取得する必要があります。

 現行の所得税法は、その創成期のシャープ税制で、いわゆる所得源泉説・純資産増加説の議論だけではなく、包括所得概念論を基本に構成されましたが、帰属所得や未実現利益(各種みなし譲渡規定は除く)が除外されていることから、完全な形での包括所得税論を採用しているわけではないといわれています。これらについては、前記の論文「人的役務所得をめぐる若干の考察」で分析しており、また、大蔵省でシャープ税制に携わった植松守雄さんの「注解所得税法」でも詳しく検討されているところです。(当ホームページの帰属所得の項目も参照)

 帰属所得は「自己の財産の使用もしくは占有から生ずる利益又は自己もしくは家族のためにする役務の提供(自家労働)によって生まれる利益」と一般的に定義づけられていますが、その語源のインピューテッドインカム(imputed income)の語彙から、むしろ「人・モノそれ自体が持つ内在的な価値=所得」と理解すべきものと考えます。したがって、帰属所得は「財産の自己所有(占有)又は自家労働の結果、もしそうでなければ免れ得ない支出をセーブできることによって受ける利得」との考え方は正しい理解ではなく、むしろ帰属所得自体からはprofitである利得(利益=利潤)は生じていないことを理解すべきものと考えます。よって、帰属所得たるモノの消費は利益とはなりませんので、帰属所得の期中消費額が所得に該当するという考え方は妥当ではありません。帰属所得自体には経済的利益はなく、帰属所得もしくはその成果を経済社会に提供(現象)し対価(通貨等交換により取得するモノ)を得たときにprofitである利得が生じると理解すべきです。言い換えますと、モノを持っているだけでは利得を生じないが。それを賃貸すれば賃料という利得が生じ、売却すれば代金という利得が生じ、また、人の役務をその人自身のために使えば利得は生じませんが、他人に提供してその対価を得れば「労賃」という利得が生じるということです。

 したがって、各種の帰属所得及びその成果を商品として経済社会に物象化(対価としての通貨等の取得)させるこそことが、所得課税の担税力の把握(収入すべき金額の実現)の基本とすべきと考えられます。

4 人的役務による利得の所得区分について

 個人の有する知恵・知識・技術・発想力・技能並びに運動能力等のあらゆる才能(内在的価値)は、その個人の有するimputed income(帰属所得)そのものであり、これを自分のため(生活、趣味、家族・友人のため等)に使うか、経済社会に物象化(現象)させて通貨等の対価を得るかは、その個人の任意の自由な選択(処分)となります。

 そして、その有する各種の帰属所得及びその成果がどのような形態で物象化したかによって、所得税法で区分された各種所得にどのように対応させるかが問題となります。(概念論としては、刑法の構成要件に対応した犯罪類型のごとく、課税要件に対応した各種所得類型による判断を要する。)

 この考え方によると上記の所得源泉説が妥当するかというと、個人の純資産の増加という面を捨象することになり妥当とはいえないことから、包括所得概念を採らざるを得なくなります。

 帰属所得とその成果を所得源泉とする所得類型として所得税法は、その有するモノ、役務提供等を使用した事業による利得を事業所得(所得税法27条及び所得税法施行令63条に掲げられた①農業、②林業及び狩猟業、③漁業及び水産養殖業、④鉱業(土石採取業を含む)、⑤建設業、⑥製造業、⑦卸売業及び小売業(飲食店業及び料理店業を含む)、⑧金融業及び保険業、⑨不動産業、⑩運輸通信業(倉庫業を含む)、⑪医療保険業・著述業その他のサービス業、⑫前各号に掲げるもののほか、対価を得て継続的に行う事業で、不動産の貸付業又は船舶若しくは航空機の貸付業は除く)、その有する不動産等の貸付による利得を不動産所得(所得税法26条、事業所得、譲渡所得に該当するものは除く)、その有する資産の譲渡による利得を譲渡所得、その有する役務の提供による対価として俸給、給料賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与を受領する利得を給与所得、退職に起因して一時に給与を受領する利得を退職所得、その有する公社債・預貯金に係る金融機関等から受領する利子等の利得を利子所得、その有する株式・出資に係る法人からの剰余金等の配当等の利得を配当所得、その有する山林の伐採又は譲渡による利得を山林所得としています。

 所得税法は以上のほかに、「利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得」のうち「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外」の「一時の所得」で「労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しない」ものを一時所得とし、上記の所得のいずれにも該当しない所得を雑所得としています。

 よって、営利を目的とする継続的行為でない労務その他の役務の対価の性質があるものは雑所得に該当することになります(営利を目的とする継続的行為は事業所得になります)。

 また、一時所得、雑所得には、所得源泉のないものも含まれていることから、所得税法は包括所得概念の考え方を採用しているとの根拠になっているところです。

 したがって、人的役務による利得は、その物象化の仕方により、各種類の事業所得、給与所得、雑所得に区分されるにすぎないこととなります。

 具体的にいえば、事業所得は、上述のように農業所得以下の各種の業種に分けて定義づけられていますが、おおむね、土地・建物・設備装備・機械装置等の固定資産を使用し、他者から売上原価となるモノの仕入(購入)をして、さらに自己の役務の投入により、サービスを含むその成果物(商品等の産出物)を経済社会に提供(物象化)することになりますが、業種によっては、固定資産をほとんど使用せず、売上原価もほとんどなく、人的役務の提供がそのほとんどとなる事業の形態が認められます。

 反面、様々な技能・芸能を創作・表現する芸能等労働者等は、単純な人的役務の提供ではなく、サービスを含むその成果物をその雇用者(使用者)に提供する形態が認められる場合があります。

 他方、民法の典型契約での、雇用・請負・委任の区分に応じ、雇用は給与、請負・委任は事業とする考え方もありますが、上記2の通りその区分の仕方は輻輳しています。

 さらに、特定の得意先に従属(事実上取引先が一つしかない)してはいるが、必要な固定資産をその得意先からのリースで賄い、売上原価も得意先から有償での供給を受けて、その代金は報酬から差引いて対価を受け取ることにより、上記2の区分を意図的に事業所得にする例が、多数生じています。(これは、税務調査での争点にもなっています。)

5 給与の外注化の遠因と免税業者に対する課税事業者選択の軋轢の始まり

 例えば、運送・配送業では、従来、社員(従業員)であった運転手・配送担当者を雇用契約から、外注契約(請負類似の継続的取引の基本契約のようなもの)に切り替え、車両は会社からそのままリースし、ガソリン代・車検費用・修繕費は実費、保険は本人名義で集団契約し、これらの費用を月極めでその月の運賃等の報酬から相殺し、天引きして決済する方法に変更しているが、実体は従来の勤務と変わらず、社員である従業員と同じような業務になっている。また、様々な業種で、従来社員として賄っていたエンジニア、プログラマー、WEBデザイナー、イラストレーター、ライターなどの業務(成果主義で勤務評価されることが多い)で、成果物を納品する形態の外注化が、急速なスピードで進んでいます。(上記持続化給付金の追加対象となった業種のほとんどが、この流れで外注化されていたと考えられます。もっとも、自由な働き方を望むフリーランスの方もいます。)

 この原因が、外注化が社員・従業員の社会保険の雇用者負担分(法定福利費)の支出を大幅に減らし、外注費が消費税の課税仕入れに計上できることから消費税を大幅に軽減できることにあることは明らかです。

 そして、政府の進める働き方改革で、労働時間の短縮と短時間労働者の正社員化と社会保険の被保険者化が積極的に進めていく結果、社会保険の負担が徐々に増加し、さらに消費税の引上げによる税負担の増加を回避するためには、これもやむを得ない状況となっています。

 また、消費税に関しては、10%引き上げと同時に区分記載請求書保存方式が仕入れ税額控除に導入され、それが令和5年10月1日からは適格請求書保存方式(インボイス制度)に移行し、適格請求書発行事業でない者(免税業者を含む)からの課税仕入れは、令和8年9月までは80%、令和11年9月までは50%まで認められますが、令和11年10月からは全く認められなくなります。適格請求書発行事業者になるためには、課税事業者でなければならないので、得意先が課税仕入れを計上したければ免税業者は課税事業者を選択して適格請求書発行事業者にならざるを得ないことになります。

 さらに、消費税転嫁対策特別措置法が令和3年3月31日までで廃止され、その適用期限が延長されなかったので、この課税事業者選択圧力が独占禁止法の優越的地位の濫用によるものと認められなければ、令和5年10月以降、免税業者は「消費税を転嫁する義務がない以上、消費税分は請求するな(=値引きしろ)」との得意先からの圧力がかかり、これに応じなければならない事態が生ずる恐れがあります。結局、免税業者は、消費税分の値引きを認めるか、消費税の課税事業者を選択して適格請求書発行事業者になって消費税を納付するかの究極の選択に迫られることになります。(もっとも、その分の益税はなくなるので当然のこととは思いますが?免税業者が、仕入・経費にかかる消費税の転嫁ができず、消費税の最終負担者になります。つまり消費税では、事業者であるにもかかわらず、最終消費者として取扱われるという矛盾が生じます。さらに、従来の国税庁や経産省の免税業者の消費税の適正転嫁の説明とも矛盾することとなります。なお、消費税法第4条で「消費税を課する」としているにもかかわらず、消費税法基本通達1−4−5では、「基準期間である課税期間において免税業者であった事業者が、当該基準期間である課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等については消費税等が課されていない。」としています。この矛盾した解釈が、インボイス制度の導入では顕著に現れてきています。ただし、平成17年2月1日最高裁判決(平成12年(行ヒ)第126号)では、この通達に追随した安易な判決がなされています。この矛盾した解釈を今後も維持し続けるのでしょうか?)

 さらにいうなら、免税業者が売り上げに係る消費税を転嫁できなくなるのであれば、消費税の最終負担者となることを避けるため、免税業者の課税仕入れにかかる消費税の還付申告を認める制度が認められるのでしょうか?

6 役務提供に係る所得の計算方法について

 役務提供にかかる所得の計算については、有名なサラリーマン減税訴訟の「労働力という商品を売って生計をたてるサラリーマンにとって労働力の再生産に必要な費用すなわち生活費も必要経費である」との生活費必要経費論があります。所得税法45条1項は1号の「家事上の経費及びこれに関連する経費で政令で定めるもの」は必要経費に算入しないとし、所得税法施行令96条で次に掲げる経費以外の家事関連費は必要経費とされないとしています。(必要経費となる家事関連費は次の通り)

 ①家事上の経費に関連する経費の主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合における当該部分に相当する経費

 ②前号に掲げるもののほか、青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者に係る家事上の経費に関連する経費のうち、取引記録等に基づいて、不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務の遂行上直接必要であったことが明らかにされる部分に金額に相当する経費

また、所得税法86条の基礎控除(令和2年分から48万円)は最低生活費を課税所得から減額させたものであり、そのほかの所得控除も医療費や社会保険、扶養家族の存在等の担税力の減少に見合った金額を課税所得から減算させていることなどから、生活費必要経費論は妥当ではありません。他方、帰属所得及びその成果を経済社会に物象化させてその対価を取得することに担税力を把握する考え方では、経済社会に物象化していない帰属所得及びその成果に係る経費は、その性質上、所得計算上の必要経費にすることは適切でありません。

 所得税法27条2項は「事業所得の金額は、その年中の事業所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額とする。」とし、同法35条2項2号は「その年中の雑所得(公的年金等に係るものを除く)に係る総収入金額から必要経費を控除した金額」を雑所得に金額にしていますが、同法28条2項は「給与所得の金額は、その年中の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額とする。」同3項で給与所得控除の計算式を定めています。(有名な最低65万円(令和2年分から55万円)控除はこれです。他方、事業所得には青色申告の場合は複式簿記の記帳を条件に青色申告特別控除65万円があります。)

 この給与所得控除は、必要経費の概算控除として説明されているところです。

 ところで給与所得者には、雇用主である使用者から受ける金銭等の経済的利益の非課税の規定があります。具体的には、所得税法9条1項4号の職務上必要な出張・転任に伴う旅費、同5号の通勤手当(所得税法施行令22条の2の計算式による上限があります)、同6号の職務上必要な給付を受けた所得税法施行令21条1号の船員法等により支給される食糧、2号の職務上使用者から支給される制服その他身の回り品、3号の物品を借り受けることによる利益、所得税法基本通達28-1の宿日直料(4,000円上限)、同28-4の「役員等に支給される交際費等(いわゆる渡切交際費)のうち、使用者の業務のために使用すべきものとして支給されるもので、そのために使用したことの事績の明らかなもの(金額上限なし)、同28-5の雇用契約等に基づいて支給される社会通念上相当と認められる結婚祝い金、出産祝い金、葬祭料、香典、などがあります。また、使用者から受ける経済的利益に関して同通達36-38の2支給された食事の実費の50%以上を徴収していれば残額が月額3500円以内であれば非課税とされ、同36-40から36-48に規定されている住宅の貸与による経済的利益(例えば使用者が賃借した場合の賃料の50%等)の非課税などの取り扱いがあります。

 この非課税給付は、事業所得、雑所得となった場合には、すべて収入金額に加算され、費用の実費が必要経費とされることになります。

 この給与所得者が、高額な報酬を受けている会社役員の場合はどうなるのか、通勤のための費用は通勤手当が支給され非課税、業務上の出張等に係る運賃宿泊費等の費用は旅費が支給され非課税(日当も非課税)、取引先や社内交際の費用は(渡切交際費を含めて)会社経費で非課税、勤務のための被服費や職務上使用する器具備品は全部支給されその経済的利益は非課税、といった報酬を受けるために必要な経費は全部会社持ちなので、役員報酬を受けるために役員本人が支出する必要経費はほとんどなく、実体のない概算経費控除の給与所得控除が必要経費として計算され、所得税の負担が減額されることになります。(ましてや役員報酬は、雇用契約ではなく、委任契約による報酬です)

 他方、パート・アルバイト・派遣職員等で交通費込みの時給(通勤手当なし)、特に制服なしだが勤務のためのスーツ等は自己負担、得意先や上司とのコミュニケーションのために必要な交際費は自己負担、職務に必要な知識技術習得のための研修を会社がやってくれないのでやむ負えず自己負担により書籍を購入・民間研修参加、といった雇用契約はいくらでもあります(まあ、こんなブラック企業はすぐに退職したほうがいいですが)。このような場合は、給与所得控除額以上に必要経費がかかることになります。

 このため、所得税法57条の2で給与所得の特定支出控除の特例を規定しています。これは、通勤費、職務遂行に必要な旅費、転任に伴う引っ越し費用、研修費(使用者からの証明がいる)、資格取得費(使用者からの証明がいる)、単身赴任の帰宅旅費、勤務必要経費(使用者からの証明がいる。65万円が最高限度)の合計額(上記の給与の非課税となる経済的利益・給付を除きます)が給与所得控除額の2分の1を超えたら、その超えた金額が給与所得控除後の所得金額から控除されることになっています。

 なお、令和2年から給与所得控除額の最低額は、基礎控除の10万円の増額にあわせて、65万円から55万円に減額され、その上限は220万円から195万円に減額されました。

7 役務提供による対価を事業と給与に区分する必要性が本当にあるのか?

 上記1の持続化給付金の追加対象に、確定申告で給与所得や雑所得で申告したフリーランス等の「個人事業者」を加えたことは、国税側の指導に従った上記2の所得区分の判断に関する実務に少なからぬ影響を与えると考えられます。特に従来から税務調査で、建設労務者やフリーランス等の勤務形態の取引先を外注費に計上している件について、この判断基準を採用して、消費税の課税仕入れを否認し、給与の源泉所得税の徴収漏れを決定する事例が多数発生しており、所得税の確定申告の実務でも、この判断基準により給与所得もしくは雑所得と判定して、申告指導してきた実態があります。

 この問題については、既に上記の各項目で検討しましたが、これから変わる消費税の問題が大きくなると考えられます。

 消費税法5条で納税義務者は事業者とされ、同法3条1項4号で事業者は個人事業者及び法人と定義づけられ、同項3号で個人事業者は事業を行う個人と定義づけられています。

 それでは、事業とは何か、個人事業税は地方税法72条の2で細かく規定し、その8項で第1種事業、9項で第2種事業、10項で第3種事業を掲げていますが、ここに特掲された事業には上記1のフリーランスの個人事業は含まれないと思われます。消費税法には、事業の定義の規定はありませんが、消費税法基本通達1-1-1では上記2のとおりであることから、上記1のフリーランス等は消費税の事業には該当しないと思われます。所得税法27条の事業所得については上記4で検討したとおりですが、講学上の各種書籍や判例では、「自己の計算と危険において利益を得ることを目的として継続的に行う経済活動」と定義づけられることが多いようです。消費税法基本通達1-1-1はこの所得税法の議論を念頭に置いて規定されたものと考えられますが、所得税法の基本通達ではこのことをあえて追加していませんので、所得税法施行令63条12号の「対価を得て継続的に行う事業」というバスケット概念で解釈せざるを得ないことになります。

 したがって、個人事業は、所得税、個人事業税、消費税とでは、その法律概念が違うものと理解することになります。(相続税の小規模宅地等の軽減措置(租税特別措置法69条の4)の事業も)

 そうすると、持続化給付金で追加されたフリーランス等の個人事業者は、地方税法では個人事業税の対象となる個人事業者ではなく、消費税でも課税事業者となる個人事業者ではないが、所得税では個人事業者となると解釈すべきことになるのでしょうか。(むしろ、人的役務提供に係る取引=報酬は、給与と同様に、消費税の課税取引ではない不課税取引と解すべきではないでしょうか。)

 また、外交員、集金人、電力量計の検針人その他「特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする人」(家内労働者等)に対する事業所得等の所得計算の特例が租税特別措置法27条で認められ、経費がなくとも給与所得控除と合わせて65万円(令和2年からは55万円)までは必要経費(例えば給与収入が30万円の時は家内労働に係る経費がなくても35万円の必要経費が計上できる)として計上できるので、給与収入が65万未満の者にとっては、事業所得者の青色申告特別控除と同様に給与所得控除の最低限の控除金額と同等の効果が認められる形態となっています。なお、家内労働者とは、家内労働法2条2項で「物品の製造、加工等若しくは販売又はこれらの請負を業とする者その他これらの行為に類似する行為を業とする者であって、委託者(厚生労働省令で定めるもの)から、主として労働の対価を得るためにその業務の目的物たる物品(物品の半製品、部品、付属品又は原材料を含む)について委託を受けて、物品の製造又は加工等に従事する者であって、その業務について同居の親族以外の者を使用しないことを常態とするものをいう」と定義づけています。

 例えば、上記5の例の特定の運送業者に従属した配送の担当者・運転手は、家内労働者等に該当すると考えますが、ウーバーイーツやウーバータクシーのパートナーである場合は、顧客紹介と代金決済のソフトを利用した不特定多数の顧客の運送業務を請負う形態なので、家内労働者には該当しないと考えられます。また、特定のスポーツクラブのみで従事するインストラクターは家内労働者に該当しますが、有名なスポーツ選手だったインストラクターが、各地の多数のスポーツクラブ等で行う業務は家内労働者には該当しないことになります。

 これらのことから、特定の者(雇用者・委託者)に従属する人的役務の提供である被雇用者と家内労働者等を、給与所得と事業所得で厳しく峻別することは妥当でないので、給与の側からは特定支出控除が、事業の側からは家内労働者の特例が、規定されたのではないかと考えられます。

 また、テレワークによる在宅勤務が常態化したとき、自宅の業務使用部分の家事関連費(家賃若しくは家屋の減価償却費・固定資産税・損害保険、水道光熱費等)は必要経費とすべきこと等、特定支出控除も収支計算に極めて近くなるものと考えられます。(通勤手当や旅費等は実費弁済として非課税とされていますが住宅手当の支給は非課税とされていない)

 したがって、人的役務の提供に係る所得は、給与所得も含め、収支計算を原則とし、例外として給与所得控除等の簡易な概算経費控除の適用が受けられる形態とすべきでがないかと考えます。

 なお、給与所得の収支計算については、日本税理士連合会税制審議会の平成13年度諮問に対する答申「給与所得課税のあり方について」では、「給与所得に係る現行の給与所得控除を見直し、事業所得など他の所得と同様に、収入金額から実額による必要経費控除を行って所得金額を算出するとともに、申告納税制度の本旨に沿って、給与所得者自身による確定申告制度への移行を提言するものである。」と結論付けています。

8 源泉徴収票と支払調書の交付義務

 大企業を中心にが支払調書の発行をしないこととしたことが話題となり、これに倣って支払調書の発行をやめる企業が続出しています。支払調書を各取引先に送付する作業と費用は郵送料等が多大の額となるので、不要な経費節減するために所得税法上の義務のない支払調書の発行をやめることはやむを得ないのかもしれません。また、マイナンバーの記載のないものにする必要があるので、税務署への提出する支払調書をそのまま使えないこともその理由となっています。

 しかし、所得税の確定申告にあたり、「今年から会社の事務作業の効率化等により、支払調書の発行をやめました」と言われて、支払調書の交付を受けることのできない個人事業者等が続出し、確定申告の計算ができない等の大混乱が発生しています。

 所得税の源泉徴収制度は、所得税法第四編に、利子・配当所得(181条)、給与所得(183条)、退職所得(199条)、公的年金等(203条の2)、報酬・料金・契約金又は賞金(204条)、生命保険契約等に基づく年金(207条)、定期積金の給付補填金等(209条の2)、匿名組合契約等の利益の分配(210条)、非居住者又は法人の所得(212条)に一連の規定があり、支払調書に関する224条以下の一連の受領者告知義務並びに源泉徴収票及び各種支払調書等の税務署への提出義務等が規定されています。しかし、これらの条文中の「支払いを受ける者に対して交付する義務」の規定は、225条2項1号のオープン型証券投資信託の収益の分配、同条同項2号の剰余金の配当・利益の配当・剰余金の分配又は金銭の分配、226条の給与・退職金・公的年金等に限定されています。

 これらの源泉徴収義務のうち所得税法204条に係る人的役務及びその成果の提供の対価である「報酬・料金」については、所得税法、所得税法施行令及び所得税法基本通達に、その該当するもの(業種・提供する作業や成果等の取引の内容等)、源泉徴収税率等が細かく規定されており、これは国税庁が毎年無料で配布している小冊子「源泉徴収のあらまし」の「第5報酬・料金の源泉徴収義務」において表にして細かく分類して説明されていますが、自分の提供している役務とその成果がどれに該当するかの判断(源泉徴収されているかどうかも含めて)や消費税の経理方法の違い(消費税込みか否か2021年4月から税込表示義務あり、課税取引か否か)による計算方法の違い、また演劇に関する事業では源泉徴収を要しない制度もあること、さらに同一支払いの中に源泉徴収に該当する業務と該当しない業務(旅費・宿泊費等実費弁済として相当な金額のもの)が混在している場合等、支払者側の経理方法に違いがあることなど、税に詳しくない一般の小規模の個人にとっては、自分の受け取る報酬の源泉所得税の逆算が極めて難しい現状が認められます(特に、復興特別所得税の0.21%の加算がより難しくしています)。またこれは、確定申告書の作成・提出が困難となる状況を作り出し、誤った申告書の作成・提出の誘因になってしまいます。さらに、消費税の免税業者への源泉所得税の対象となる金額が消費税込みの金額か消費税抜きの金額かの経理処理が混在し、後者の処理が一般的であるが、適格請求書発行事業者を選択しなかった免税業者に対しては、どちら取り扱いなのか?も混乱の理由となります。

 それでは、支払調書を発行してもらえないのならマイナンバーを教えないと抵抗したらどうなのか?マイナンバーの不提供に罰則はないので、支払者側は提出期限までにマイナンバーの記載のない支払調書を税務署に提出しなければならないことになります。このような無用のトラブルは事前に防ぎたいものです。

 したがって、これらの人的役務にかかわる報酬等については、源泉徴収票同様の支払調書の交付義務の制度もしくは源泉所得税を含む支払内容の通知義務の制度を設けるべきではないかと思われます。

 なお、令和2年の税制改正による源泉所得税の推計課税の規定の創設(所得税法221条の改正)により、本来の源泉所得税の負担者(支払いを受ける者)に精算すべき源泉所得税の額、その計算根拠を通知すべき規定も不可欠なものと考えられます。(懲罰のように源泉徴収義務者に当該税額を負担させることは妥当とは言えません。調査実務では、追徴される源泉所得税を給与や報酬にグロスアップ(所得税法基本通達181〜223共ー4))して強制徴収決定される場合が多いです。このような場合には追徴された源泉所得税とグロスアップされた給与報酬の金額を支払いを受ける者に通知する義務を設けるべきです。)

二元的所得税論と金融税制の一元化論は正しいのか?
(キャピタルゲインと事業損失の損益通算について)

1 コロナ禍による休業等により収入が大幅に減少し、事業所得の大きな損失が生じ、その資金捻出のため土地を売却したり、上場株式を売却して譲渡益が生じても、分離課税の土地の譲渡所得や上場株式等の所得等と事業所得の損益通算ができず、多大な分離課税譲渡所得による所得税、住民税が生じてしまう事態が生じています。事業の回復が見込めず、店をたたんで従来からの損失の穴埋めのために不動産等を売却したら、今までの繰越損失も不動産等の売却益に充てることができず、分離課税の譲渡所得税でとんでもないことになってしまう。なぜこのような結果が生じてしまったのでしょうか?上場株式でなく金や仮想通貨にしておけば総合課税の譲渡所得や雑所得なので総所得の範囲内で事業所得の損失と通算できたのに???

2 株式の譲渡益課税の変遷と不動産の譲渡損益の損益通算不可

 株式、公社債、投資信託等の金融商品は多種多様で、それに対する税金の課税方法も複雑怪奇で、税金の専門家である税理士すらその全貌を把握するのが難しく、ましてや仮想通貨等新たな金融商品が次々に生み出され、それに対応する追加の改正が繰り返されていることから、一般の国民はさっぱりわからず、きわめて不公平で不適切な税制が内包されているということにも気が付かない状況となっています。

 シャープ税制では、株式の譲渡益、配当は総合課税、利子は総合課税と源泉分離(60%)の選択制となっていましたが、利子はその後源泉廃止を経て昭和28年に10%の源泉分離課税、同年には株式の譲渡益は原則非課税(有価証券取引税の導入)で事業類似及び売買回数多数・多数売買(50回20万株、その後回数株数の変遷あり)の時は総合課税とされました。さらに昭和40年に配当の源泉分離課税(15%)と少額配当(10%)の申告不要制度(10%の源泉税の時は少額配当に該当しなければ総合課税)その後利子配当の源泉税率の変動を経て、平成元年の消費税導入に合わせて、株式譲渡益にも分離(源泉・申告選択制)課税が導入(有価証券取引税は廃止)され、平成14年には特定口座制度が導入され、その後毎年のように金融税制が創設・廃止・変更が繰り返され、また、新たな金融商品に対応した創設・変更も併せてなされ、きわめて複雑なわかりにくい税制となっています。また分離課税とされた株式等の譲渡が損益通算を認めないことに合わせて、平成16年から不動産(土地建物等)の譲渡損益も損益通算を認めないこととされています。(昭和44年には、不動産の譲渡所得が長期・短期による定率(比例)税率による分離課税とする租税特別措置法の改正がされています。)

3 二元的所得税論

 二元的所得税論は、「資本は労働よりも流動的である(供給の価格弾力性が大きい)ことを前提として、勤労所得に対しては累進税率を適用する一方、資本所得に対しては勤労所得に適用する最低税率以下の税率により分離課税することが望ましい。」とし、経済の国際化により、足の速い資本の流出に鑑み、資本所得に対して低い税率で課税することに意義があるとしています。

 資産所得の課税については、世帯単位の不労所得である不動産所得・配当所得・利子所得を世帯主の所得に合算して税額計算する資産合算制度がありました。この制度は、戦前の世帯単位課税から個人単位課税への移行にあたり、一定の親族への資産の移転による税負担の軽減を図ることへの対策で、いったん昭和26年に廃止されましたが、高額の所得者が増加し、その配偶者や子供に資産所得を分散して累進課税を逃れるという課税上の不公平を是正する目的で、昭和32年に復活し、昭和63年に税制の簡素化の見地から再び廃止されました。(この世帯単位課税は、国民健康保険の保険料の所得割の算出方法に残っています。)

 この資産合算制度は、労働所得と不労所得という二元的所得論に基づき、不労所得は世帯合算して高い累進税率で課税するという、上記の二元的所得税論とは真逆の発想の租税理論となります。

 ただし、資産合算制度があった時代は、株式等の譲渡益は上記の通り基本的に非課税であり、合算対象は不動産所得が大きなウェイトを占めていた(場合により利子配当が主の人もいましたが)ことから、この資本と労働を前提とする二元的所得税論とは次元が違うものと捉えられます。

 二元的所得税は北欧で採用されている制度で、基本的に、「賃金・給与、社会保障給付、事業収益(報酬的部分)等」は勤労所得、「利子、配当、キャピタルゲイン、家賃、事業収益(投資収益的部分)等」は資本所得とし、勤労所得には25%〜30%程度から50%〜70%程度の累進税率、資本所得は30%程度の定率税率となっており、全般的に社会保障の充実のため最低税率が日本より高くなっています。

 そしてこの二元的所得税では、勤労所得と資本所得間の損益通算を認めないということが柱となっています。これは、すべての所得間での損益通算を認める総合課税の制度下で、高い限界税率での高率の利子控除、ロス(譲渡損失等)控除制等を援用した租税回避を図ることが盛んにおこなわれる等のマイナス面が指摘されていました。日本でも、バブル期には多額の借入金、その利子及び減価償却費による不動産赤字を使った相続税や所得税の節税、変額保険を使った節税等の租税回避行為が横行しました。バブル崩壊後は大きく値下がりした不動産を関係者(関係会社)に譲渡し、その譲渡損を多額の報酬等の総所得と損益通算(極端な話では高額の給与所得の源泉徴収税を未納付のまま還付申告をする)をして租税回避を図るなどの問題も生じていました。

 他方、日本においては、バブル期以前から少子高齢化や年金・医療・介護による財政赤字の進行への危機感から、個人の資産形成による解決策を探ってきたところ、バブル崩壊による証券市場等の低迷期を迎え、預貯金に偏った巨額の個人金融資産をどのように証券等の金融市場に向けさせるかが、大きな議論となり、「貯蓄から投資へ」キャッチフレーズのもと、特定口座の創設以下の一連の金融税制の改革が進行してきたところです。

4 小泉構造改革の一環として金融税制一元化が始まった。

 昭和から平成の時代に入りバブル崩壊でいわゆる失われた10年が始まり、株価の低迷が続き平成9年には北海道拓殖銀行の破綻、山一証券の廃業、その翌年には長銀・日債銀の破綻と続く金融危機が起こり、小泉内閣が誕生すると平成13年月26日の所謂「骨太の方針」に基づく「聖域なき構造改革」を旗印に、不良債権処理や金融・証券市場の回復のための様々な改革の一環として、年金の一本化を目指す年金改革とともに、金融課税一体化の第1弾として平成15年1月に特定口座制度が創設され、株式の譲渡益の申告分離課税への一本化と税率の引下げ(28%から10%)が行われ(株式譲渡損益の損益通算の不可の改正及び上場株式等の譲渡損失の繰越控除の創設)ました。これにならって、平成16年4月に不動産譲渡損益の損益通算不可の改正がなされた次第のようです。この不動産譲渡損失の損益通算不可の改正は、のちに訴訟にもなったようにあまりに唐突で、前年末の平成16年度の税制改正の答申には含まれておらず(なぜか税制改革大綱には入っているようです。)、平成16年1月16日に閣議決定、2月3日に国会に提出され可決成立したという、いわくつきのものです。

 これらの改革は、平成14年11月の税制調査会の税制改革の答申では「金融・証券税制については、今後、利子・配当・株式譲渡益に対する課税について、金融商品間の中立性を確保するとともに、できる限り一体化する方向を目指すべきである。この場合、将来の改革の方向として、金融所得の一元化、二元的所得税についても、総合課税とあわせ検討すべきである。」とし、その後税制調査会金融小委員会で審議され、平成16年6月15日の「金融所得課税の一本化についての基本的考え方」という報告書にまとめられています。

 この報告書の「一金融所得税課税」「(2)税制論から見た位置づけ」では「我が国の所得税制は、包括所得税を基本として構築されているが、金融所得課税については、課税ベース拡大のための取り組みの中で、税制の中立性、簡素性、適正執行の確保などの観点から、比率税率による分離課税が導入されてきた。今般の金融所得税の一体化は、現下の『貯蓄から投資へ』の政策的要請を受け、一般投資家が投資しやすい簡素で中立的な税制を構築する観点から、現行の分離課税制度を再構築するものである。」とし、二元的所得税については「金融所得課税の一体化は、二元的所得税論の立場から主張されることもある。北欧諸国が二元的所得税を導入した際の、課税ベースの拡大、海外への資本逃避防止、資本所得間の中立性の確保などの問題意識は我が国の税制を考えるに当たっても重要な点である。他方、北欧諸国の二元的所得税においては、資本所得に対する税率と勤労所得の最低税率、法人税率は同水準に設定されているが、勤労所得の税率が30%前後と我が国に比べ著しく高い水準にあるなど、税率構造が我が国と著しく異なる。また、二元的所得税を導入するとすれば、あらゆる種類の所得(事業所得、雑所得、一時所得、不動産所得等)を資本所得と勤労所得とに二分することが必要となる。資産の中でも、土地等については、帰属地代・家賃が課税できないという問題のほか、わが国では公共性のある資産という土地基本法上の位置付けを踏まえて特別の税制上の取り扱いがなされており、税制上、金融商品とは異なる面もある。こうしたことから、所得税制全体のあり方として、北欧型の二元的所得税については、今後、わが国の経済・財政状況や税体系を踏まえ、引き続き検討していく必要がある。」としています。

 したがって、不動産の譲渡損益の損益通算の不可制度は、金融所得課税一体化とは別個の判断によるものだったと考えざるを得ません。当時、バブル崩壊の失われた10年の間に、バブルの狂乱地価の中でババを引いた不動産業者等の者が、大きく値の下がった土地を関係会社等に売却し、その譲渡損失を例えば多額の役員報酬や不動産所得と損益通算をして節税(というよりは、背負ったリスクの回収のための行為というべきか?)を図ることがよく行われていました。また、多額の役員報酬の源泉所得税を納付せずに、多額の役員報酬と関係会社に譲渡した多額の損失を損益通算して所得税の還付申告をする事態まで生じたことから、このような意図的損失創出に対応するため、北欧型二元的所得税の理論を部分的に借用したものと考えざるを得ません。確かに、分離課税の不動産譲渡について利益が出たときは比例税率で、損失が生じたときは他の累進課税の総合所得から控除するという不均衡が生じる問題があり、国土交通省の「今後の土地税制の在り方に関する研究会」の平成14年6月19日の中間取りまとめなどにおいては、バブル対策としての土地重課はその前提を失い、他の資産のキャピタルゲイン課税と差別的なものであってはならないとし、北欧型二元的所得税にも言及していますが、この中間とりまとめはむしろ、土地重課の軽減、登録免許税や不動産取得税の軽減を求め、株式譲渡と同じ定率の課税を求めていたものと考えられます。(源泉所得税の不正還付申告?の件は、源泉所得税の納付義務者がその負担者と異なっているという、源泉所得税制度の本質的欠陥により生じたもので、不動産の譲渡損を使った租税回避とは別の話です。)

 このような場合、同じ土地を事業用に保有し、同じ規模で同じ事業をしていた者が、法人である場合は、法人税には所得区分はないので、全収入(益金)から全経費(損金)を差し引いて所得を算出することから不動産の譲渡損失は当然に事業による利益と通算されるのもかかわらず、事業者が個人である場合は不動産の譲渡損失は事業所得と損益通算できないため、算出される税金の額に大きな差が生じる不公平が生じます。

 ましてや、今回のコロナ禍の真逆の状況下では、深刻なな営業不振による事業の損失を、法人であれば不動産の売却収入と通算できますが、個人の場合は損益通算できず多大な譲渡所得税負担を負うという致命的な状況に追い込まれてしまうという、より深刻な不公平が生じてしまうということです。

 こんな不動産税制は早くやめるべきです。もし長期保有と累進課税の均衡を図るなら、保有年数による所得の分割(〇分〇乗)か、退職所得控除のような特別控除による調整を使って、総合所得に取り込むべきです。また、不動産は登記制度があるので、短期移動が激しく捕捉の難しい金融取引とは別個に考えるべきです。(後述しますが、すべての所得が定率課税であれば、この問題は生じません。)

5 現行の所得区分による総合課税制度の妥当性

 所得税は明治20年に創設され、昭和15年に戦費調達のため、分類所得税と総合所得税の2本立てとなり、分類所得税は、その源泉種類に応じて①不動産②配当利子③事業④勤労⑤山林⑥退職の6種類に分けて、それぞれ異なった税率が適用され、勤労所得には源泉徴収制度が導入されました。総合所得税は一種の富裕税で所得合計が当時の5,000円以上となる者に10〜65%累進課税をかけていました。第2次世界大戦後昭和22年に総合所得合算申告納税制度が導入され、所得を9種類(利子、配当、臨時配当、事業、給与、退職、山林、譲渡、一時)に分類し、事業及び配当所得の損失は経常的な所得の範囲内で通算し、山林及び譲渡所得の損失は臨時的な所得間で通算し、臨時配当、退職、山林、譲渡所得の2分の1控除して、累進の総合課税となりました。そして、昭和25年のシャープ勧告税制で、現行の10種類(事業、利子、配当、不動産、給与、譲渡、一時、雑、山林、退職)の所得とされ、一時所得を除き損益通算ができ、累進税率によるの総合課税となりました。その後昭和36年に配当所得の負債利子による損失の損益通算を認めない改正、昭和43年に雑所得の損失の損益通算を認めない改正等の各種の損益通算を認めない改正がなされ、利子・配当・株式譲渡益の変遷と不動産譲渡益の変遷は上記2の通りです。

 所得税の課税の問題点については、小泉改革による一連の改正が行われた平成16年12月13日の日本税理士連合会税制審議会の答申「所得税制における所得区分と課税の在り方について」において検討され、「所得の種類にかかわらず、収入から実額による必要経費の額を控除して所得金額の計算を行うことが原則である。・・・・しかしながら、現行の所得税法には給与所得控除や公的年金控除など概算的な控除制度・・・・を維持する限りは・・・・区分は必要となる」。そして、給与所得に関しては実額経費控除とすべきとの平成13年の答申があり、事業所得、不動産所得、雑所得を規模の違いという不明確な基準で所得区分することは妥当でないことから、控除制度を見直して一本化すべきこと、公的年金の給付は資産性所得とも勤労所得とみることもできないことから「公的年金所得」の設置が望ましいこと、退職所得、土地等の譲渡益はそれぞれ勤務期間、保有期間によるN分N乗方式によって課税の平準化を図ること、株式等の譲渡を含む金融資産から生じる所得は一体的にとらえ損益通算を行ったうえで適用税率を一律として分離課税すべきこと、一時所得、雑所得は上記に該当しない所得として「その他の所得」として同一の所得区分にすることが望ましいとしている。さらに、損益通算については一定範囲の所得に係る損失については・・・恣意的の損失を発生させるなど・・・課税の公平が損なわれる場合・・・課税方式の異なる所得の間で損益通算を行うことが適切でない場合もある。・・・現在の不動産市況や不動産取引の実態等からみると、土地等の譲渡損失は任意の時期に損失を発生させることは事実上困難であり、土地等の譲渡所得は分離課税方式が適当であるが、累進税率による「N分N乗方式」による場合は、総合課税の所得との損益通算の課税上の弊害は少ない。したがって、現行の土地等の譲渡損失に係る損益通算の規制措置は廃止すべきである。としています。

7 累進課税である必要性はあるのか?

 累進課税について、日本税理士連合会の上記の答申では「すべての所得を合算し、統一的な超過累進税率を適用する総合課税方式は、租税負担の公平を維持するとともに、所得税の基本的な機能である所得の再分配とビルトインスタビラーザー(自動景気調整機能)を期待する観点からは、最も望ましい所得税制である」としていますが、「税制は経済事情に応じた政策的な要請に応えなければならないこと、所得の種類によってはその把握が困難な場合が少なくないこと、納税者及び税務当局の事務負担等に配慮した執行上の便宜を考慮しなければならないこと、などを勘案すれば、総合所得税制によることを原則としながらも、一定範囲の所得については分離課税制度の適用も容認せざるを得ないと考えられる」としています。

 実際、政策上の本則とは違う特別控除、計算の特例、税額控除等の不公平な税制が多数存在し、本来の意味での課税の公平や所得の再分配は機能していません。また、個人の自由な意思と行為により形成されるインセンティブを獲得することは、自由で民主的な資本主義のなかで当然のことであり、このインセンティブの獲得を動機として、産業革命以来の科学技術の発展が可能となっています。したがって、そのような動機をそぐ、累進課税はその観点では適切ではないことになります。

 また、ビルトインスタビラーザーは、財政の自動調整機能ですが、コロナ禍による危機に代表される際限のない国債による財政支出が可能となっている現状(MMT理論によれば当然のことですが)では、ビルトインスタビライザーによる財政調整論は意味をなさなくなっています(ケインズの有効需要論に基づく、ニューディール政策では、自動景気調整機能は無意味となっています)。

 したがって、所得税の税率は、消費税の税率と総合して、高度なインフレが生じないような財政政策に基づく一率の税率とすべきです。

 これにより分離課税による異なる税率間の損益通算を制限する必要はなくなり、損失の意図的な創出という議論も不要となります。

 所得の再分配に関しては、むしろ富の偏在の再分配の側面に観点を変えて、個人のインセンティブにより蓄積されて富は、その者一代限りのもととする税制である、相続税・贈与税の課税の強化(高税率の累進課税)で対応すべきものと考えます。

8 帰属所得の他者(市場)への使用・提供・処分による客観的・具体的な担税力の発現(対価の発生)を所得の収入すべき金額として捉える考え方をすれば、人的役務による帰属所得と財貨による帰属所得をあえて区分した場合は、二元的所得税論の考え方に近くなります。しかし、人的役務による所得は収支計算が原則です(生存のための費用が不可欠ですが、生活費、家事費等は必要経費とはできません。その代わり所得控除があるとされています。ベーシックインカムがあれば所得控除もいりません。)。財貨による所得はその取得費用、維持費用(修繕・保守・取得するための借入金利子)は必要経費になる収支計算になります。したがって、二元的所得税論とは違い、財貨による収入が人的役務より低率な税率によるべきという理由はありません。さらに、役務の投下による成果である知的財産権等による収入、長期勤務の報酬の後払いの退職金や長期保有の値上がり益(キャピタルゲイン)の譲渡所得も含めて、定率課税とすれば、人的役務による所得と財貨による所得等を別個の税率にする必要性はないと考えられます。

ローリングストーンズとビートルズ

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 10月にリリースされたローリングストーンズの18年ぶりの新しいアルバムが、ロッキンオンの洋楽アルバムランキング2023年の第3位とのことです。2022年はオジーオズボーンのアルバムのペイシェントナンバー9がリリースされ、これに参加したジェフベックが亡くなってしまったので、ストーンズのアルバムに参加したポールマッカトニーが危ないのではと思っていたら、ビートルズが新曲をリリースするということで安心して、新曲のリリースを楽しみしていたら、何のことはない、ジョンレノンの昔のバラード風の曲のAIによる音の合成による焼き直しで、ちょっとがっかり。ほかのバンドが昔からこの曲のカバーをユーチューブ動画にあげていたので、改めてビートルズにする意味があったのだろうか考えてしまいます。むしろ、AIによってジェラスガイやイマジンのように原曲をアレンジしたジョンレノンの新曲の方がよかったのかとも思います。それにしても、レディーガガとともに参加したスティービーワンダーは大丈夫なのだろうか?1950年生まれだからまだ若いか!

 それにしても、ローリングストーンズはさすがですね。巷の評判通り1970年頃のロックの原点に戻った感じでいいですね。ローリングストーンズは、ブライアンジョーンズの解雇に繋がる音の変化、スワンプロックの影響を受けてミックジャガー、キースリチャードの存在がが大きくなり、ジャンピングジャックフラッシュ、ホンキートンクウィメン

 

私のギターコレクション

 私のギターコレクションを紹介します。  

 ギブソンUSA SGスタンダードです。

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ギブソンE335(1995製)です。

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ギブソンレスポールスタンダード(1989製)です。

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フェンダーUSAストラトキャスター(1976製)です

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 フェンダーUSAストラトキャスター(1973製) ハードテイルです。

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 フェンダーメキシコテレキャスター ジョーストラマーモデル です。

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 リッケンバッカー620です。

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 シェクターSD−Ⅱ24ASです。

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 マーチンD28です。

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 ギブソンSJ200(1998製)です。

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 タカミネのエレアコです。

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フェンダージャパンジャズベース(JB62 ピックアップはUSA)です。                                           

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フェンダーメキシコのストラトキャスターです。値段は安いですがとてもいい音がします。

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ギブソンSGスペシャルです。指版も黒です。

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ギブソンレスポールカスタムです。

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アイバニーズ 5弦ベースです

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アイバニーズ 7弦ギターです

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グレッチのテネシーローズです

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フェンダーUSA ストラト ロリーギャラガー風です

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タカミネ12弦ギターです

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リッケンバッカー ベース4003です


 

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